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ビタミンDシリーズ 第4回『ビタミンDはその後も…』

2025.6.13
お知らせ
生殖技術部門より

通院中の患者様へ

前回は、ビタミンDのサプリメント服用が男性の妊孕性にも関係する可能性があることをお伝えしました。
最終回の今回は、妊娠中の血液中のビタミンD濃度が、母体や赤ちゃんに影響を及ぼす可能性があることについてお伝えします。

1. 母体への影響
骨の健康:妊娠中は胎児にカルシウムを供給するため、母体の骨密度が減少することがあります。ビタミンDが不足すると骨軟化症や骨粗しょう症のリスクが高まります。
妊娠高血圧症候群:ビタミンDは胎盤の発達に関与し、正常な胎盤形成を助けます。不足すると妊娠高血圧症候群を発症しやすいと報告されています。
妊娠糖尿病:ビタミンDは膵臓のインスリン分泌等にも関与するため、不足すると糖代謝異常につながる可能性があります。

2. 赤ちゃんへの影響
骨の形成:胎児の骨格形成に不可欠な要素です。不足するとカルシウムの吸収がうまくいかず、骨の発達が遅れたり、くる病を発症するリスクが高まります。
免疫系の発達:出生後のアレルギーや自己免疫疾患のリスクに影響する可能性があると報告されています。
早産や低出生体重:妊娠高血圧症候群や妊娠糖尿病が原因となり、早産や胎児の発育不良につながると考えられています。

早産や低出生体重は多因子的(母体の栄養、感染症、喫煙、ストレスなど)なため、ビタミンDだけで防げるわけではありません。ただし、ビタミンDの適切な補給は確実にリスク低減に寄与すると考えられています。

ビタミンDについて、4回に分けてお伝えしました。
ビタミンDは体を健やかに保つうえで欠かせないビタミンというだけでなく、女性男性の生殖に関わり、更には出産や赤ちゃんの健康にも関与する重要なビタミンです。
しかし、過剰に摂取をすることで食欲不振、吐き気、筋力低下、神経過敏などを生じることがあります。サプリメントを服用される前に血液検査を実施し、血液中のビタミンD濃度を把握してから医師とご相談のうえで摂取されることをお薦めします。

◎ビタミンDシリーズ
第1回 『ビタミンDの基本的なこと』
https://www.ivfosaka.com/news/16103.html
第2回『ビタミンDと胚質』
https://www.ivfosaka.com/news/16109.html
第3回『ビタミンDで男性も?!』
https://www.ivfosaka.com/news/16170.html