着床前検査(PGT)

着床前検査実施までの手続き

診察の受診(着床前検査希望であることをお申し出ください)
動画『不妊症および不育症を対象とした着床前遺伝学的検査(PGT-A・SR)』の視聴
着床前検査カウンセリング診察(福田院長・藤岡副院長・辻副院長)
動画視聴後、必ずご夫婦で来院できる日をご予約下さい
凍結胚による着床前検査実施
新鮮胚による着床前検査実施
採卵後9日目以降に胚凍結状況確認のため来院
着床前検査の結果開示診察

※着床前検査の結果が出るまでにかかる期間は検体提出後1~2ヶ月です。

当院は、日本産科婦人科学会の承認を受けた、着床前検査実施施設です。
不妊症および不育症を対象とした着床前検査を実施しています。

《対象の方》
1)体外受精・胚移植で、過去に2回以上臨床的妊娠が成立していない方
2)過去の妊娠で臨床的流産(胎嚢確認後の流産)を2回以上経験し、流産時の臨床情報が得られている方
3)夫婦のいずれかに生殖に影響する染色体構造異常を有する方


日本産科婦人科学会の見解と細則に沿って実施しています。
※着床前検査の適応の有無については医師へご相談ください。

着床前検査治療の流れ

体外受精スケジュール開始
卵巣刺激
採卵
採卵の当日
体外受精・顕微授精
採卵の翌日
受精の確認
胚培養
着床前検査
受精後5日目
検査を行う細胞の採取
胚凍結
解析検査会社へ郵送
検体提出後より1~2ヶ月後で
結果の返却
胚移植

着床前検査には体外受精が必要です。
採卵から胚培養および胚移植は通常の体外受精と同様に行います。

それに加え、着床前検査では、培養した胚から検査を行うための細胞を採取します。
そのため、青色で示される手順が通常の体外受精と異なります。

採卵~検査結果が出るまでの流れ

採卵当日〜翌日 採卵から受精確認

着床前検査は胚から細胞を採取し検査を行うため、体外受精が必要となります。
採卵翌日には受精したかどうかの判定を行います。左の図のように2つの前核が見えて初めて正常に受精したと判定し、胚盤胞まで培養します。

受精後5〜6日目 細胞の採取

受精後5〜6日目まで胚を培養し胚盤胞まで発育した胚の胎盤となる細胞を5~10個ほど採取します。

なぜ胚盤胞で生検を行うのか?

複数の細胞で検査をする利点

  • 1個の細胞には1つの染色体情報(DNA)しかありませんので、複数の細胞から検査を行うことで解析精度が向上します。
  • それぞれの細胞で染色体構造に違いのある胚(モザイク胚)が存在します。複数の細胞を用いることで誤診断を減らすことができます。

染色体検査 NGS法

わたしたちが持っている染色体とは、常染色体が44本と性別を決定する性染色体を2本持っているのが正常です。お母さん側(卵子)、お父さん側(精子)からそれぞれ23本ずつ染色体をもらってきます。この状態の胚が正常胚です。

しかし、染色体をうまく23本ずつもらえない場合があります。
両親どちらか一方の染色体が1本失われている場合、この状態をモノソミーといいます。また、両親どちらか一方の染色体が1本多いとき、この状態をトリソミーといいます。モノソミー、トリソミー状態の多くは異常胚です。
通常、モノソミー、トリソミーどちらの状態であっても、そのほとんどは着床しない、または着床しても流産となります。
着床前検査は、この染色体の数を調べて、胚が正常かどうか胚移植前に判断する検査です。
当院は着床前検査にNGS法を採用しています。NGS法では採取した細胞からDNAを抽出、増幅し、染色体の数を調べます。調べる箇所は全ての染色体にわたり、約3000箇所のデータを解析します。 NGSの結果は図の横軸が染色体の番号、縦軸がその染色体の数を示します。上の緑色の線は染色体が3本、真ん中の線は染色体が2本、一番下の赤色の線は染色体が1本の状態です。
正常胚は1から22番の染色体が真ん中の線(染色体の数2本)を示します。

染色体検査 NGS法の結果

一番上は、性別を決めるXYの性染色体を除いて全ての染色体が直線状に並び、染色体がすべて2本ずつある正常な結果です。こちらが移植に適する胚です。
真ん中は、9番目の染色体の一部が2本と3本の間にありモザイク胚です。モザイク胚は、モザイクのある染色体の種類と数により妊娠に与える影響が異なります。モザイク胚の取り扱いについては医師とよくご相談ください。
一番下は、9番染色体が3本(トリソミー)の結果です。こちらは移植に適さない胚です。
このような結果をもとに移植する胚を決定します。
実際の着床前検査は原則として性別にかかわる性染色体の情報は開示しません。
また、稀に判定不能という結果の場合もあります。その場合、可能であれば胚の再生検を行います。

当院の着床前検査の実績

IVF大阪クリニック(2020年-2022年)

症例数 281症例
着床前検査実施周期 539周期
着床前検査キャンセル周期 62周期(12%)
平均年齢(採卵時) 39.2歳
移植可能胚獲得率 38.8%

融解胚移植:着床前検査しない融解胚盤胞移植、3回目以降の成績
着床前検査:着床前検査を行い移植可能(モザイク胚を含む)判定された胚の移植成績

*/** 臨床妊娠率は着床前検査(PGT-A)の方が融解胚移植に比べ有意に高く、流産率は着床前検査(PGT-A)の方が融解胚移植に比べ有意に低くなりました。