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topics:精液の酸化ストレス

2020.5.18
お知らせ
生殖技術部門より

ホームページをご覧のみなさまへ

精液検査は、男性の妊孕性を評価するうえで重要な検査です。
採精した精液中の精子をカウントし、総精子濃度、運動精子濃度、運動率、奇形率などを算出する方法が一般的に実施されています。
加えて当院では精子の形態評価以外に機能面にも注目し、2017年より精液の酸化ストレスを測定するMiOX検査を取り入れています。

からだの中では活性酸素と呼ばれる物質がつくられており、色々な役割を持っています。逆に活性酸素を消去するシステムもあり、この産生と消去のバランスが崩れて活性酸素が過剰になった状態を酸化ストレスといいます。
活性酸素には細胞中のDNAなどを損傷させるはたらきがあり、精子も例外ではありません。また、精子には活性酸素を除去する機構が十分に備わっておらず、酸化ストレスを非常に受けやすいといえます。
そのような精子は、受精時やその後の胚発育、着床にも影響すると報告されています。
ところが、精液の様子からDNAの損傷を判別することは不可能で、元気に動いている精子でも酸化状態が高い可能性があります。
そこでMiOX検査で精液の酸化ストレスの程度を知ることが重要と考えています。

酸化ストレスは検査時の体調の影響が少なからずあるため、高酸化ストレス状態だという結果が出た場合でも生活習慣を見直すことで抗酸化力を高めることができます。バランスのよい食事や適度な運動や睡眠、他には禁煙などを習慣化し健康的な生活を心がけることが大切です。

※画像はMiOX測定機器になります。