診療のご案内

特殊な不妊治療技術の概要

■3つのオプション・プログラム

他の施設で体外受精顕微授精を実施したけれども、今までの方法で妊娠に成功しない場合、その原因に応じて次のようなオプション・プログラムを実施して、成功に導くようにしております。これは、初診の場合「医師との作戦会議」のなかで相談されます。これは全てのデータを分析して採用されるIVF JAPAN独自の救済プログラムです。そのケースに応じて組み立てるプログラムなので、全員同じではなく全ては紹介できないので一部を説明します。このオプションを使用すると今までに、他院で失敗を繰り返したケースでも転院してすぐ妊娠していただけることがよくあります。

■卵子獲得プログラム

これは卵子の成長しなかったり、採卵数が少ない方に行うプログラムです。スプレキュアを使用しているなら long 法から short 法または ultrashort 法に変更する。スプレキュアの量も加減する。低用量ピルで前周期でホルモン調整をするかカウフマン療法で準備する。DHEA※1カルニチン※2などの卵子のできやすいサプリメントを服用する。排卵誘発剤の種類や量を変更する。アンタゴニスト法に変更する。自然周期をトライしてみる。栄養カウンセリングで卵巣に行く血液の流れを改善する。また、鍼治療や気功、ファータイル・ストレッチをして全身の気と血の流れを改善して卵巣に脳下垂体ホルモンが届きやすくする。

※1 DHEA( Dehydroepiandrosterone )
DHEA は副腎由来のホルモンで、男性ホルモンや女性ホルモンの元になる物質です。 DHEA は、生まれたときから副腎や生殖腺でたくさん作られ、テストステロン(男性ホルモン)及びエストロゲン(女性ホルモン)に変化します。 20 歳代から 30 歳代の間に最大になり、それから徐々に減少、 70 歳代では体内を循環する DHEA の濃度はピーク時の成人の持つ値の通常 20 %程度にまで低下します。老化によって崩れていくホルモンバランスを整える働きがあり、アンチエイジング(老化防止 ) に対するサプリメントとして注目されています。不妊治療においては、卵巣機能の低下した 43 歳の患者に DHEA75mg / 日を 7 ヶ月間投与し、卵巣の反応性が改善された報告(アメリカ不妊学会誌 2005) 、卵巣の反応性が低下した患者9名(平均年齢 42 歳)を対象に DHEA75mg / 日を投与し、平均17週間(7〜42週)の投与後、平均採卵数は4.4個から8.6個に有意に増加、移植を行った8名のうち、 2 名に継続妊娠が成立したという報告があります(ヨーロッパ生殖医学会 2005) 。

※2 Lカルニチン
L- カルニチンは特殊なアミノ酸の一種で、体内の脂肪を燃焼しエネルギーに変えるための必要不可欠な栄養素です。 脂肪をエネルギーに変えるためには脂肪を「燃焼」させることが必要ですが、細胞には「脂肪の焼却炉」にあたるミトコンドリアが含まれており、脂肪が燃焼するためにはその中に入ることが必要です。 L- カルニチンは「エネルギーのもと」である脂肪そのものと結合し、「焼却炉」であるミトコンドリアに脂肪をスムーズに運び込む役割をします。これは他の栄養素では代替できない重要な働きです。そして、ミトコンドリアが活発に働くことにより、質の良い卵子や精子を育て、受精卵の細胞分裂をサポートし、活性酸素などの攻撃から細胞を護るなど重要な働きをしていると考えられます。体内に存在する L −カルニチン量は、 20 歳代をピークに年齢を重ねるとともに減少し不足するようになります。 L −カルニチンを適切に摂取することで脂肪が燃焼しエネルギーが活発に働くようになり、結果として妊娠しやすい体づくりができると考えています。

詳しくは、AAプロジェクト(http://www.aaproject.co.jp/)をご覧下さい。

■胚質向上プログラム

これは、胚の分割が遅かったり、胚盤胞にならなかったり、胚にフラグメントという細胞のくずが増えて胚の質が悪い方のためのオプションです。
まず、培養液を変えてみる。精子の質も胚質に影響するので精子の質の改善を図る。アンタゴニストやスプレキュアの使用法において違う排卵誘発法を考えてみる。遺伝子組み換え誘発剤など純度の高い薬を使用してみる。分割が遅い、分割してもフラグメントが多く質が悪いことにはミトコンドリアが大きく影響しているので、ミトコンドリア活性法※3を試す。心理カウンセリングで卵子を攻撃する活性酸素の原因となるストレスを減らす工夫をする。また、栄養の取り方を変えて活性酸素を消去する食品を多く取る。ビタミンEなど活性酸素消去因子を服用してみる。

※3 ミトコンドリア活性の為の薬剤

ラエンネック(カプセル・注射)

ラエンネック(カプセル、注射)は、もともと肝機能改善に使用されているお薬です。しかし、その作用として細胞のミトコンドリアの活性化による組織呼吸の促進、血流改善、新陳代謝の活発化作用があるため、当院ではその優れた作用に注目して、卵の質の改善、子宮内膜の増殖効果及び着床率向上を期待して使用しています。

ATP(アデノシン三リン酸)
体内の細胞の外部から供給されるエネルギーには、タンパク質・糖・脂肪などの栄養素がありますが、実際に細胞内でエネルギー代謝に関わる仕事をしている部品がこのATPです。ラエンネックと同様に、組織呼吸の促進、血流改善、新陳代謝の活発化が期待できるため、卵の質の改善、受精卵の細胞分裂のサポート、卵巣機能の改善を目的として使用しています。

着床改善プログラム

このオプションは、良いかまあまあの胚ができるのに、なかなか着床ができない方のために考えられます。まず、着床障害検査を行います。この内容は、@子宮の血液の流れが悪いので内膜に栄養や酸素がいかないかどうかの検査A何か免疫因子が着床する胚の邪魔をしていないかの検査Bご夫婦の相性が悪く胚を異物と勘違いして排除しようとする体質かどうかの検査。などで全て血液検査です。この検査で異常が出れば、体外受精を始める前にこれを解決しておきます。その解決法にはリンパ球免疫療法や自己抗体抑制治療なども含まれます。また、まだ実施してない人に対しては胚盤胞移植や着床改善の可能性のある二段階胚移植法も有効です。さらに、子宮内膜の薄い方にはホルモンを加えたり、レビトラ座薬(当院で特別に作成しています)を用いたりアスピリン療法を行ったりします。また、子宮収縮も子宮内血流を悪化させますので子宮弛緩法を行います。子宮内膜を完璧に作り直すことのできる全面凍結法とホルモン補充周期胚移植法も有効です。さらに、心理カウンセリングやATレッスンを習得してもらい精神面からの子宮収縮を抑制する手段もとります。

■未熟卵培養による体外受精

当クリニックでは、日本で初めて未熟卵採取による体外受精に成功しました。
これは、排卵誘発剤による卵巣刺激を必要としないため、 卵巣過剰刺激症候群の発症の危険性がありません。 また、多嚢胞性卵巣症候群の方など卵巣過剰刺激症候群の発症するリスクのある方は、 とても良い治療の選択肢となります。

■無精子症のための顕微授精

無精子症の方で精子を作る能力が残っている場合、精巣上体や精巣から直接精子を抜き出して 顕微授精を行い多くの妊娠を得ています。

■TMET-経筋層胚移植

通常の胚移植法の他に直接子宮筋を通して行う胚移植法を行っています。 この方法により従来の胚移植法で妊娠しなかった方の妊娠が可能となります。

■AHAー孵化補助

着床障害、特に透明帯通過障害の方の治療に用い、透明帯の一部に穴を開けて孵化(ふか:卵子の細胞が透明帯から外へ飛び出すこと。)を容易にする方法です。当院では赤外線のレーザー光線を用いて透明帯に穴を開けるため、安全かつ信頼性の高い方法で施行できます。これまでどうしても着床しにくかった方にとっては革新的な技術です。

■ブラストシスト培養法

着床に問題のある場合、胚を特殊な培養液で長期培養し(5〜7日間)胚盤胞で 移植する方法を実施しています。

■2段階胚移植法

受精2日後で得られた胚の中から胚盤胞に到達する可能性の高い胚1個を残し、 2,3番目と評価された2個の胚を移植します。その受精2日後での移植胚が 積極的に子宮内膜に働きかけることで、子宮内膜の胚受容能を促進させ、 そして、受精5日後で胚盤胞に至ったものを1つ胚移植する方法です。  当クリニックでは良好胚盤胞移植を行ったにもかかわらず妊娠に至らない症例など、 子宮内膜の胚受容能に主に原因があると考えられる症例に2段階胚移植法を行っています。

■ミトコンドリア活性法

加齢などにより胚の質が悪い場合、ミトコンドリアを活性化する方法です。 それに加え、排卵誘発剤などの刺激に対する反応が弱い方にも投与し、 採卵数が増加することが当クリニックの研究で分かっています。

■メトフォルミン療法

メトフォルミンは、インスリン抵抗性が高血糖の原因と考えられる糖尿病の治療薬です。 PCOS(多嚢胞性卵巣症候群)では、卵巣内のアンドロゲン(男性ホルモン)濃度が上昇し、 これによって排卵障害、OHSS、卵の質の低下を招きます。 海外で、メトフォルミンをPCOSの患者様に用い、良好な改善結果を得ており、 当クリニックでも、さっそく導入し改善がみられた患者様もおられます。

■シルデナフィル膣坐薬による子宮内膜改善法

子宮収縮による子宮内虚血に注目し胚移植時に子宮収縮抑制剤を用いる方法で 子宮内循環の改善を図り着床率の向上に成果を上げています。  この腟坐薬を一日二〜四回使うと直接吸収され子宮内膜の血流が改善し、 内膜が厚くなると言われています。

■r -FSH (遺伝子組み換えFSH:商品名「フォリスチム」)

現在、広く使われている 卵胞刺激のための注射薬(FSHやhMGと呼ばれるもの) は、閉経した女性の尿から精製する方法で作られていますが、 r-FSH は、従来のものと比べ純度が非常に高く( 99% 以上の純度)、製造番号ごとの純度のバラツキもないことから、 1995 年に EU 諸国で販売が開始されて以来、日本での発売が待たれていました。現在使用されている閉経期女性の尿由来製剤と比較し、純度と品質の点で優れている、少ない総投与量で効果が得られる、皮下投与が可能、採卵数・卵子の質・移植可能胚数が増加する点で優れているとされています。ただし、従来のものと比べ費用がかかるため、費用対効果などの点から尿由来製剤でよいとする意見もあります。



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