診療のご案内

遺伝不育外来

染色体異常や遺伝病の方、不育症の方に対して、医師(2名)を中心として専門の看護師、心理カウンセラー、栄養カウンセラーによる専門的、総合的な治療を行います。
患者様が納得していただけるまで十分な説明や情報提供を行い、必要な検査や治療を行っております。




■遺伝外来

染色体異常や遺伝病を有する方を対象としています。
不妊症や不育症には染色体異常の頻度が高くなります。染色体異常や遺伝病と診断された場合、染色体または遺伝子そのものを治療することはできませんが、本人にどのような症状が生じる可能性があるか、また、子供ができる可能性があるのかどうか、子供に何らかの影響があるかなどについて可能な限り多くの情報提供を行い、今後の治療をどのように行うか決めていくことができます。
初診の時には、ご本人だけでなく、できればご夫婦で受けていただくことが望ましいと考えています。

■不育外来

妊娠はされるものの流産や早産・死産を繰り返し、赤ちゃんを得られない不育症の方を対象としています。
多くの施設では2回連続して流産した反復流産、3回連続して流産した習慣性流産に対して不育症の検査を行っていますが、当院ではたとえ1回の流産のみでも希望があれば検査を行います。一般的に流産の7割は胎児の染色体異常によるものですが、3割は治療すれば流産を防止できた可能性がある原因によるものです。
流産は手術やホルモンの変化による身体的なダメージだけでなく、児を喪失した心の傷も大きく、精神的なケアの重要性から積極的に心理カウンセリングを行っています。
また、栄養カウンセリングでは、不育症治療の補助として、普段の食事やライフスタイルを見直すことで体調を整え、また血液凝固を促進しないようにする食生活を提案していきます。

■不育症の原因と治療

1.感染症

頸管や子宮内で感染症が生じていると流産の原因となります。代表的なものにクラミジア感染症があります。
クラミジア感染症は若い女性を中心に年々増えている感染症で、症状が乏しいために自覚のないうちに腹腔内感染にまですすみます。
クラミジアが腟から子宮や卵管へと入っていくと、卵管内腔の狭窄や閉塞、卵管周囲の癒着をひきおこし子宮外妊娠や卵管不妊の原因にもなります。
妊娠中のクラミジア感染では赤ちゃんを包む膜である絨毛羊膜に炎症が生じ、子宮収縮をおこして流産や早産の原因となります。
クラミジアの検査には抗原検査と抗体検査があります。抗原検査は子宮頸管にクラミジアが存在するかどうかを調べます。しかし、抗原検査では子宮頸管付近にクラミジアがいなければ検出されないという問題点があります。腹腔内感染の有無を調べるために抗体検査を行います。抗体検査は血液検査で、クラミジアIgA抗体、IgG抗体を調べます。IgG抗体陽性は過去に感染がおこったことを、IgA抗体上昇は感染が現在活動的かどうかを示します。
治療はアジスロマイシン(ジスロマック)を1回服用します。1回の服用で治すことができますが、治るまでに7日間位かかります。また、パートナーも同時に治療することが大事です。

2.内分泌異常

■■黄体機能不全■■
排卵したあと、卵胞は黄体化し、黄体ホルモン(プロゲステロン)を分泌します。
この黄体ホルモンは子宮内膜に作用して着床環境を整えます。
黄体ホルモンが十分に分泌されない場合を黄体機能不全といい、不妊・不育の原因の一つであると考えられます。
治療としては、黄体ホルモンを補充します。
また、良好な卵胞をつくるために、排卵誘発剤を使用し黄体機能不全を防ぎます。

■■高プロラクチン血症■■
プロラクチンは母乳を分泌するホルモンですが、授乳時以外にも高くなることがあります。
プロラクチンが高いと良好な卵胞が形成されず、黄体機能不全につながります。
治療としては薬(カバサール・テルロン)の投与を行い、プロラクチンを下げます。
数値が異常に高い場合は脳下垂体の腫瘍を疑い、MRI等の検査が必要な場合も考えられます。

■■甲状腺機能異常■■
甲状腺機能異常は低下症と亢進症があり、ともに流産率が高くなります。
甲状腺機能低下症は高プロラクチン血症を引き起こします。
治療としては薬の投与を行いますが、甲状腺疾患は機能低下と亢進が交互に起こることがあるので、専門医による管理が必要です。

■■糖尿病■■
糖尿病の高血糖状態は、胚や胎児の細胞分裂や代謝過程に障害をもたらすことを含め、妊娠の維持に悪影響をもたらすと考えられています。
したがって、すでに糖尿病と診断されている方の場合、妊娠前から血糖値コントロールを中心とした管理が必要です。

3.子宮異常

不育症の原因のひとつに子宮形態の異常があり、その頻度は約1.9%とされています。子宮形態の異常には先天性の子宮奇形(双角子宮、中隔子宮、単角子宮など)、子宮筋腫、子宮腺筋症、子宮腔癒着症などがあります。流産にいたる原因としては、血液の流れが悪いため、お母さんから十分な栄養がもらえなくなってしまうことと、子宮腔が狭いために発育障害がおこることが考えられています。
子宮形態異常は、超音波検査、子宮卵管造影検査、子宮鏡、MRI画像法などによって診断することができます。治療としては子宮形成術、子宮筋腫核出術などの手術療法が最も有効です。子宮奇形に対する子宮形成術後の妊娠継続率は70〜80%以上という報告が多く、手術療法が有効と考えられます。子宮形成術などの開腹手術では約1週間〜10日の入院となり、子宮筋腫核出術に関しては、腹腔鏡下に行う場合は、入院期間は1週間ほどです。子宮内腔に突出している粘膜下筋腫には、開腹せずに腟から子宮鏡下に切除する手術もあり、その場合は4日間ほどの入院ですみます。
当クリニックでは、提携病院において当クリニックの医師が手術を行っています。手術を受けていただくスケジュールとしては、手術予定日の約1ヶ月前に、全身の状態のチェックのため(麻酔をかけても問題がないかを調べます)術前検査を受けていただき、その後、1週間ほど後にご夫婦で手術の詳しい説明を受けていただきます(インフォームド・コンセント)。当クリニックでは積極的に手術を行っています。手術後妊娠され、当院の通院を卒業された方も多くいらっしゃいます。何なりとご相談ください。

4.染色体検査と染色体異常

染色体とは、人を形作る遺伝子が集まってできた46本からなる構造物です。その染色体の数や形に異常が存在する場合には、児が発育できずに流産となったり、奇形を生じたりします。さらに、成人の場合には不妊や不育症の原因になることがあります。
一般に流産胎児の60-70%と高率に染色体異常が認められます。その染色体異常のほとんどが「トリソミー」といって、通常2本である染色体が1本多い3本となっている異常です。トリソミーは、正常な染色体を持つ親から卵子や精子ができる時に偶然に生じます。特に母親の年齢が高くなるに従い発生頻度が増加します。
ところが、2回以上の流産を経験された夫婦の中には、3−6%の割合で夫婦のどちらかに染色体異常が認められます。親に染色体異常が存在すると、高頻度に児に染色体異常が生じ、それが流産の原因となります。染色体異常の多くは転座といわれる染色体が入れ替わっている異常で、染色体の過不足がない均衡型のために子供に染色体異常が遺伝する以外には本人には何ら異常を認めません。転座には相互転座とロバートソン型転座があり、さらに逆位という染色体の一部が上下逆転している異常もあります。
相互転座とロバートソン型転座は、図に示すように、6種類の精子・卵子が作られますが、そのうち1種類が正常、1種類が正常(転座保因)、4種類が異常となります。異常のほとんどが流産となるために、転座を持つ夫婦の妊娠では、3回のうち2回が流産となる割合です。正常に妊娠が経過した場合には、生まれてくる子供のうち50%は全く正常ですが、50%は染色体異常の親と同様の転座保因(奇形等は生じません)となります。
夫婦の染色体異常に対する治療には、染色体そのものを治す方法はありませんので、遺伝カウンセリングが重要になってきます。妊娠された場合の流産の確率や出生してくる児の予後等に関する説明を行い、その後の妊娠をどのようにするかを考えていただけるように情報を提供します。
ただ、体外受精を行った受精卵(胚)の一部を染色体検査し、異常のない胚を選択して子宮内に移植する着床前検査が我が国でも認められるようになってきました。この治療には体外受精を行う必要があることや診断の正確性などの問題もありますが、今後は選択肢の一つになると考えられます。
染色体異常が認められる夫婦にも、他の原因で流産している可能性もありますので、不育症の検査異常が認められれば積極的に治療を行う必要があります。さらに、不幸にも再度流産された場合には流産児の染色体分析を行い、児の染色体異常が本当に流産の原因になっているか確認する必要があります。実際に、胎児に染色体に異常を認めなかった方も認められているからです。
夫婦の染色体検査(血液)は、採血することにより約3週間で結果がわかります。ただ、この検査は遺伝情報を知るためのものですので実施する前には遺伝カウンセリングが必要となります。














5-A.自己免疫異常

自分の組織に向けられた抗体を自己抗体といい、免疫反応の調節や老廃物の除去に役立ち、少量なら健康人でももっています。しかし、それが過剰に作られたりすると、自己免疫現象が発生して、病気が発生します。これを自己免疫異常といい、病変は主に血管に出現します。
以前より自己免疫疾患の患者に流産が多い事は知られており、母体の免疫能の異常が(子宮内の血栓という現象を介して)妊娠維持に障害を起こす可能性が指摘されてきました。最近になって、それが抗リン脂質抗体という自己抗体によって惹き起こされるという説が注目されるようになり、抗リン脂質抗体と関連する流産、血栓症をまとめて抗リン脂質抗体症候群と呼ぶようになりました。リン脂質とは体の構成成分であり、その抗体が存在すると、血管内の細胞のリン脂質と反応し(妊娠子宮の)血管内に血栓を来し、流産に至るといわれています。
当クリニックでは自己免疫異常の検査として、主に抗リン脂質抗体をはじめとする自己抗体の有無を調べています。

・抗核抗体(ANA):細胞の核内にある抗原と反応する自己抗体の総称
<リン脂質に対する抗体>
・抗カルジオリピン抗体 (IgG,IgM)
・抗ファチジルエタノールアミン (PE) 抗体
・抗フォスファチジルセリン (PS) 抗体
・ループスアンチコアグラント (LAC)
<リン脂質に結合する蛋白に対する抗体>
・抗β2-glycoprotein 1 (β2GPT) 抗体
・キニノーゲン

6-A.血液凝固異常

凝固因子や血小板などの異常も血栓形成を介して、妊娠維持に障害を起こすことがあるので検査が必要です。

・PT:プロトロンビン時間
・APTT:活性化部分トロンボプラスチン時間
・凝固活性12因子:活性が低下すると、血栓が生じ、流産の原因となります。
・血小板凝集能(PAP):凝集能が強すぎると血栓が出来やすくなります。

5-B & 6-B.治療

治療は自己免疫異常、凝固異常ともに主に血栓形成を抑制する治療になります。

抗凝固療法 ヘパリンなど
現在最もよく行われている治療です。主に点滴持続静注で行うため、長期の入院が必要となります。当院では妊娠10週頃までの入院をおすすめしています。
頻度は高くないですが、出血傾向、骨密度低下の報告があります。

抗血小板療法 バファリン
着床時期から内服を行います。妊娠中を通して投与するのが一般的で、当院では妊娠35週頃までの投与をおすすめしています。母子ともに副作用はほとんどありません。

自己免疫異常で抗体価が高い方はプレドニン、柴苓湯などの免疫抑制療法を行うこともあります。

7.同種免疫異常

私たちの体の中に細菌やウィルスなどの自分以外のものが入ってくると、それを排除しようとする働きがあります。それが免疫反応です。母親の卵子と父親の精子からできている赤ちゃんは母親にとって一種の異物となりますが、子宮の中は赤ちゃんを排除することなく出産まで育ててくれる免疫環境が備わっています。しかし、赤ちゃんを異物として攻撃する作用が強い場合や、攻撃から赤ちゃんを守る作用が弱い場合には、赤ちゃんは順調に発育することができなくなります。そのバランスの崩れが同種免疫異常です。

診断法
@リンパ球混合培養検査(MLC)
攻撃から赤ちゃんを守る働きのある遮断抗体がどのくらいあるかを知る検査です。
ご夫婦の採血を行うことにより調べることができます。

方法
血液検査(ご夫婦)
火曜日〜金曜日(予約が必要)
結果:4週間後

Aナチュラルキラー細胞活性(NK)
母親の赤ちゃんへの攻撃を見る検査です。NK細胞は赤ちゃんの絨毛の発育を阻止する因子に関連している可能性が高いと言われています。

方法
血液検査(奥様のみ)
月曜日〜金曜日(予約不要です)
結果:約7日後

治療
治療は@Aのどちらかに異常があった場合に行います。通常は夫リンパ球免疫療法を行います。

@夫リンパ球免疫療法
夫のリンパ球を抽出して妻の身体に皮内接種することにより妻に遮断抗体を産生し、赤ちゃんを守る環境にします。

方法
ご主人様の採血により得られたリンパ球を前腕部の4ヶ所に皮内接種します。初回は、約2週間おきに4回接種します。その後は約6ヶ月ごとに2回追加接種します。妊娠後はできるだけ早い時期に2回追加します。


※自己抗体が陽性の場合はその症状が悪化する可能性があるため行うことができません。

副作用
注射部位が赤く腫れたり、しこりができたり、38度位の発熱が生じたりすることがありますが、一時的なものです。

8.心理要因

流産を経験された方へ
流産は、心身にとって大きな体験です。自分の一部を失ってしまうような、また、描いていた児の将来への希望や夢なども失ったような、とても個人的で複雑な体験だと言われています。

流産を経験されてから、「他人に会いたくない」「家から出たくない」「ちょっとしたことで涙が止まらなくなってしまう」と語る方がいらっしゃいます。
「流産を経験したのは自分だけなのでは…」「どうして自分だけがこのようなつらい思いをしなければならないのか…」と語る方も多いですし、「赤ちゃんを守れなかった」と自分自身を責める方もいらっしゃいます。

このように感じることは、ある意味でとても自然なことなのです。

けれども、流産のことは、多くがなかなか語られないので、自分自身のこのような状態に違和感を感じたり、驚かれる方も多いのです。
ですから、流産を経験したあと起こってくるこのような心のプロセス(悲嘆)にゆっくりとつき合うことが難しかったり、「早く元気だった頃の自分に戻らないと…」と焦りを感じられる方も多いのです。

大切な赤ちゃんを失うことは、お母さんにとって、そしてお父さんにとって、大きな喪失体験なのです。十分に悲しみを表出し、失った赤ちゃんを弔うことが出来たとき、乗り越えられると言われています。
今はそういう悲嘆のしごとをしている時だと知り、自分自身を大切にしてください。

少し時間がたって、元気になってきたら、次の治療に対する焦りも出てきます。けれども一方で、「また流産するのではないか…」という不安や怖さも出てくるかもしれません。
「早く治療をしたいが、からだがついていかない」「治療を始めたいけれど、また流産するのではないかと怖い」と葛藤をお持ちの方も多いです。

少し落ち着いてきた時でも構いません。まだ、少し立ち直れない自分を感じておられるときでも構いません。カウンセリングルームへいらっしゃいませんか?

自分の中で大切にしてきた気持ちや自分だけで考えていたことを話すことによって、気持ちの整理が出来るかもしれません。そうすることで、次の治療に対するより良い選択にもつながると思われます。一つのサポートとして、カウンセリングルームがあることを思い出したとき、電話または受付にて、お声をおかけください。安心して気持ちのプロセスができる場を用意して、お待ちしております。

9.栄養要因

不育症の原因のひとつに血液の固まり(血栓)ができやすいことが知られています。
そういった体質の方は、血液をサラサラの状態にして、血液の固まりを作らないようにする必要があります。毎日の食事やライフスタイルによって、血液の状態は変わってきます。

・ストレス
・喫煙
・運動不足
・甘いものやアルコールの過剰摂取

などが血液をドロドロにしています。思い当たる点はないですか?
以下のものは血液をサラサラにする食材です。


例えばこの様な食材を毎日のお食事に取り入れることで、血液をサラサラの状態にすることができます。
また、活性酸素が体の中に増えすぎてしまうと体は老化し、血液ドロドロの原因になります。活性酸素は普段の食習慣やライフスタイルの乱れにより多量に発生してしまいます。体がどのくらい活性酸素の害を受けているか測定し(酸化ストレス度測定)、現在の状態を知ることもこれからの治療に役立ちます。IVF大阪クリニックでは、酸化ストレス度測定に加え、体がどのくらい活性酸素に抵抗する力を持っているか(抗酸化力測定)も同時に測定することが出来ます。 (※服用中の薬・注射によっては測定値に影響するものがあります。詳しくは受付又は栄養カウンセラーにお尋ね下さい。)
栄養カウンセリングでは不育症治療の補助として、普段の食事やライフスタイルを見直し、お一人お一人にあった方法で、体調を整え血液をサラサラに保つ食生活を提案しています。
体は毎日のお食事から出来ています。毎日のお食事をおいしく、楽しく、健康な赤ちゃんを育てることができるものにしましょう!

■診療時間

 
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